POLYSICS武道館ライブでカヨ卒業「イママデアリガトウ」

ハヤシからカヨに大きな花束が手渡されると、8000人のファンから大きな拍手と「おつかれさま!」「ありがとう!」という声が贈られた。POLYSICSのメジャーデビュー10周年を記念したワンマンライブ「POLYSICSメジャーデビュー10周年スペシャルライブ!! 〜BUDOKAN OR DIE!!!!〜」が、3月14日に日本武道館で行われた。彼らのデビュー10周年記念公演であるとともに、1998年からメンバーとして活動してきたカヨ(Syn, Vo, Vocoder)のバンド卒業ライブともなったこの武道館公演。会場には午前中から多数のファンが集まり、物販やクロークに長い列を作った。開演前のアナウンスには「ご来場いただき、誠にありがトイス!」という遊び心も盛り込まれ、客席からは爆笑が沸き起こる。ステージ上には「POLYSICS」の英字をかたどった電飾が用意され、武道館という大会場にふさわしい華やかな雰囲気が漂う。定刻を5分ほど過ぎたころ、客席は暗転。会場を埋め尽くした8000人の大歓声が響き渡る中、メンバー4人がステージに姿を現した。「BUGGIE TECHINICA」でのカヨのボコーダーボイスによるメンバー紹介には、いつも以上に力強い拍手と歓声が沸く。続いて「PLUS CHICKER」「FOR YOUNG ELECTRIC POP」と、初期の名曲が立て続けに披露される。「each life each end」ではカヨが高い位置に立てられたスタンドマイクをピコピコハンマーでジャンプしながら叩き、その動きに合わせて観客もジャンプを繰り返した。「トイス! トイス! トイス! トイス! こんばんは、POLYSICSです! ついに始まったぞ武道館! ドヒャー! ピキキキー!」と、ハヤシ(G, Vo, Programming)のMCもいつも以上のハイテンション。続くパートでは「Beat Flash」「XCT」「ウィーダー」など、誰もが身体を動かさずにいられない強力チューンが続く。「ワチュワナドゥー」ではハヤシが恒例のビール一気飲みを披露するが、この日の器はアリーナクラスということもありグラスでもジョッキでもなくピッチャーサイズ。通常よりもかなり時間をかけての一気飲みとなったが、結局飲みきれず撃沈。会場の笑いを誘った。ガレージロックテイストのアレンジで彼らの音楽性の幅広さをアピールした「Modern」の後、再びMCに。観客がスタンド席を埋め尽くした景色に、ハヤシが「すげえいい眺めですよ! あそこにいるのはみんな人間ですよね?(笑)」と感嘆すると、横からフミ(B, Vo, Syn)が「いえ、CGです。今日VJさんが入ってますから」とクールなボケを発する一幕も。ハヤシが「だって声かけるとリアルタイムで返ってくるよ?」と食い下がるも、「同期してます!」ときっぱり返すフミ。「……まあ、別にそれでもいいよ」と折れるハヤシの様子に、場内からは笑い声が起こった。中盤では最新アルバム「Absolute POLYSICS」の楽曲「Eye Contact」「催眠術でGO」「Fire Bison」を連続で演奏。POLYSICSの新境地をアピールするダークな楽曲に、場内の空気も一変する。その直後の「POLYSICS OR DIE!!!!」では、曲後半でヤノ(Dr)がステージ最前に登場するというサプライズが。驚くオーディエンスを前にヤノは「元気ですか武道館! トイス! トイス!」と絶叫。ステージ左右の花道を猛スピードでダッシュするが、途中で力尽きて膝に手をつき「武道館広いねー……」とこぼす。その後もスタンド席やアリーナ席のファンと海外スターさながらのコール&レスポンスを繰り返し、ハヤシが思わず「こんなヤツだったっけ?」と苦笑するほどのパワフルなパフォーマンスを見せた。後半に入ると場内の空気はさらにヒートアップ。「COLON」ではカヨとフミが息の合った振り付けを見せ、「Code4」のポップなサウンドには全員が気持ち良さそうに聴き入る。「本当はもっともっとハミ出したいんじゃないのか?」というハヤシの煽りから、ライブはいよいよ終盤戦に。「P!」のホイッスル音を合図に、ノンストップで怒涛の10曲パフォーマンスが展開される。フミの伸びやかなボーカルに乗って全員が踊り狂う「E.L.T.C.C.T.」、リズム隊の豪快なグルーヴと高速のビートが心地良いハーモニーを生む「United」と、彼らの勢いは全く衰えない。バイザーを飛ばしたハヤシは「まだまだ続くぞ武道館!」と絶叫。「Pretty Good」「Speed Up」に続き、本編最後に披露されたのは「Boys & Girls」。カヨの卒業ライブであることを忘れさせるような、アッパーで多幸感に満ちたステージが終了。カヨはいつもどおりに表情を崩さず、クールなたたずまいのまま舞台を去っていった。熱狂的なアンコールの拍手に応え、ヤノ、フミ、カヨがステージに登場。遅れてハヤシはステージ下手の花道から、ショルダーキーボードを下げて現れ、「AT-AT」がスタートする。途中でショルダーキーボードはカヨに渡され、カヨがファンのもとへ挨拶するかのようにステージを左右に移動。ライブ中めったに定位置を動かない彼女の意外なパフォーマンスに、場内からは大きなどよめきが沸いた。「アンコール行くぞ!」とハヤシが叫び、金テープのキャノン砲とともに始まった「ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ」、この日一番の熱気が武道館中に渦巻いた「シーラカンス イズ アンドロイド」と、アンコールでは定番のナンバーを続々と披露。あっという間に1回目のアンコールが終わってしまうが、まだ物足りないオーディエンスは4人がステージを去るや否や再びコールを繰り返す。2回目のアンコールでステージに戻ってきた4人。ハヤシは「最高の一言に尽きます、どうもありがとう! みんなもう疲れた? 疲れてない? (笑)」と観客を気遣い、カヨに向かって語りかけた。「カヨ、10年後の20周年のとき、武道館にこの曲歌いに来てくれよな」と始まったのは「NEW WAVE JACKET」。続いて「Baby BIAS」「Electric Surfin' Go Go」と、カヨのボーカルをフィーチャーしたナンバーを連発。観客も4人の鳴らす痛快なサウンドに酔いしれながらも、彼女の歌声をもう聴くことができないことを徐々に実感しはじめているように見えた。カヨとの別れを惜しむように起こった3度目のアンコールに応え、ハヤシは満員の客席に向けて話し始めた。「みなさんのおかげで武道館で10周年を迎えることができました。スタッフのみなさん、ファンのみなさん、本当にありがとうございます! そしてカヨ、12年間本当にありがとう」とはなむけの言葉を贈る。ハヤシに促されてマイクに向かったカヨは、いつもどおりのボコーダーボイスで「イママデ、アリガトウ。アイ・ラブ・ポリシックス」とクールに挨拶。最後まで“POLYSICSのカヨ”であることを貫き通した彼女に、大勢のファンが涙ぐみながら力強い拍手を贈った。最後のアンコールで披露されたのは「BLACK OUT FALL OUT」。カヨは普段どおりの冷静な表情のまま、しかし想いを込めるように丁寧にシンセを奏でる。そして3時間にわたるライブを締めくくるラストナンバー「BUGGIE TECHINICA」のイントロが鳴り響き、場内の照明も点灯。ライブ序盤での演奏よりも格段に気合の入ったパフォーマンスを続ける4人。曲の終わりでは名残惜しそうに、長い長いアウトロをいつまでも鳴らし続けた。アンコール含め42曲のライブを終えたカヨは、ハヤシから花束を受け取って場内に一礼。最後まで冷静沈着なままステージを降りていった。ハヤシは観客に「またすぐ会おうぜ!おやすみー!」と笑顔で挨拶。クールなキャラクターで愛されていたカヨのラストライブにふさわしく、熱いステージと全員の笑顔で送り出す“卒業式ライブ”となった。POLYSICSメジャーデビュー10周年スペシャルライブ!!〜BUDOKAN OR DIE!!!!〜2010年3月14日 日本武道館 セットリスト01.サニーマスター02.BUGGIE TECHINICA03.PLUS CHICKER04.FOR YOUNG ELECTRIC POP05.each life each end06.Digital Coffee07.Beat Flash08.XCT09.ワチュワナドゥー10.ウィーダー11.Shizuka is a machine doctor12.Modern13.White Snake14.人生の灰15.Nice16.Eye Contact17.催眠術でGO18.Fire Bison19.POLYSICS OR DIE!!!!20.I My Me Mine21.COLON22.Code423.P!24.Tei! Tei! Tei!25.E.L.T.C.C.T.26.United27.URGE ON!!28.Rocket29.Young OH! OH!30.Pretty Good31.Speed Up32.Boys & GirlsEN1-01.AT-ATEN1-02.ピーチパイ・オン・ザ・ビーチEN1-03.カジャカジャグーEN1-04.シーラカンス イズ アンドロイドEN1-05.Shout Aloud!EN2-01.NEW WAVE JACKETEN2-02.Baby BIASEN2-03.Electric Surfin' Go GoEN3-01.BLACK OUT FALL OUTEN3-02.BUGGIE TECHINICA

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